「白ちゃん、“龍脈”ってよく聞くけど……それってなに?」
ふとした日常の中で気になって、白龍にたずねてみた。
すると、白龍ちゃんは、ふわっと空気をまとって、 わたしの肩あたりでくるっと回りながら言った。
「龍脈っていうのはね、地球の“気の流れ道”のことだよ〜」
「ぼくら龍がよく通る道でもあるし、 地球が深呼吸するように“エネルギー”を通す道でもあるの」
「じゃあ、山とか川とかが多いところにあるの?」
「そうだね、山の尾根や、谷の合流点、 それに古い神社の近くなんかにも多いよ。 水の流れといっしょにあることも多いかな」
「龍脈って、地球の“血管”みたいなもの。 血がうまく巡らないと、からだがこわばるでしょ? 地球もおなじで、龍脈が詰まると、 揺れたり、うなったりするんだ〜。肩こりと一緒だよ」
「それって、地震のこと?」
「うん、地震って、地球の“伸び”や“うめき声”みたいなときもある」
「いろんな思いが積もって、土地が悲鳴をあげてたり、 動きたいのに動けない。流れがたまってたりする場所があるんだよ」
「もちろん、自然の動きの一部だから、全部が“悪い”ってことじゃないよ。 あくびをしながら“伸び”をしているだけもある。
ぼくらから見ると、“おお〜今、やっと動くね〜”っていう“節目”のサインでもあるかな」
「じゃあ、人はどうしたらいいの?」
「まずはね、“今、この土地に立ってる”っていう感覚を持ってみること。 自分の足元の“気配”を感じてみるといいよ」
「足が重く感じたり、ソワソワしたり、 逆にすごくスーッと軽く感じたりね。 地面との“対話”って、ほんとはだれでもできるんだ」
「あまちゃん、よく裸足で歩いたり、 土に手を入れたりしてるでしょ? あれ、すごくいいんだよ〜」
私のこと、よくみてるな…白ちゃん。
「もし土地が疲れてそうなら、 祈るように掃除したり、「ありがとう」って思ったり、 その場所に“意識を向ける”だけでも、けっこう変わるよ〜」
「ぼくら龍も、そうやって人が気にかけてくれると、 “お、ここは流れがきたな。動きがあるな〜”って感じて、 風を通したり、氣を流したりするんだ〜。地のうめき声はそうやって落ち着くって、昔の人は知っていたよ。」
白龍の言葉を聞きながら、 ふと、自分の暮らす土地を思い出した。
庭もちょっと暑さが落ち着いてきているから、綺麗にしてあげようかな。
いつも通る道や、近くの山や川、 足元にある、何気ない地面の感覚。
龍脈は特別な場所じゃない、いつもそこに在る。
そこに流れるものを感じてみよう。
もしかしたら、地球がちいさく深呼吸している“音”が、 聞こえてくるかもしれない。
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