異界のお付き合いの心得
暮らしの中には、ときどき「ん?」と思う気配が通り過ぎます。
ぜんぶがぜんぶ悪いものじゃなくて、むしろ「こんにちは〜」って軽やかに来てくれる存在も多いんです。
たとえば、ふっと風が抜けるように気持ちが軽くなったとき。
それは自然や妖精、ご先祖さまからの“やさしい訪問”かもしれない。
でも反対に、急に空気がどんよりしたり、背中がザワッとするような感じのとき。
それは「ここには合わない」存在が入ってきた合図。
私はそんなとき、深刻に怖がったりはしません。
ただ境界線をスッと引いて、「ここは人の家だから、お帰りください〜」とお帰りいただきます。
子どもたちとも、こんな会話をするんです。
「いまのは誰だった?」
「うーん、座敷童ちゃんはにっこりだったけど、さっきのはちょっと違う」
そんなやりとりも、ゲーム感覚みたいに。
異界の気配は、日常にふと紛れ込みます。
そのすべてが怖いものではなく、
時には優しく寄り添う存在もいます。
けれど──あの夜の体験から学んだのは、私たち人が体と心がある以上は、
「招いてよいもの」と「招いてはいけないもの」がある、ということでした。
Point!
※厳密にいうと、ここで、「招いてよい、いけない」という言葉をあえて使っていますが、単純にエネルギーの差異が大きいものは避けたほうが楽、合うものは入ってきやすいということです。
さらにいうと、「エネルギーが軽いものの方が、人が関わるには楽で安全だよ」っていう意味だと思ってくださいね。
よしわるしは、「人」がジャッジしているだけで、存在には、よいも悪いもありません。
招いてよい存在
それは、温かさや懐かしさを運んでくる気配。
先祖の祈りを思い出させるようなものや、
子どもの夢にそっと寄り添うような存在。
そこに触れると、不思議と心が落ち着いたり、呼吸が深くなったりします。
招いてはいけない存在
一方で、家の空気を暗くしたり、
身体に重さをまとわせたりする気配もあります。
それは、こちらの無防備さにつけ込んで入ってくるもの。
軽い気持ちで迎え入れると、
長引く不調をもたらすこともあるのです。
境界線を持つ
だからこそ大事なのは、「境界線」を持つこと。
見えないものに心を開くのは素敵なことですが、
扉を常に開けっぱなしにしておく必要はありません。
私の場合は、祈りやお香や灯りを通して、
「ここから先は大切な家族の空間です」と伝えます。
来てほしい存在だけを招き入れ、
そうでないものは、やさしく境界の外に送り出す。
大事なのは、すべてを拒むのではなく、どう付き合うかを選ぶこと。
怖さで閉じるんじゃなくて、調和の中で線を引く。
我が家ではよく「にぎやかで楽しい空気を保つのがいちばんだね」なんて言って、笑っています。
ほんとにその通りで、笑い声や「ありがとう」の言葉って、目に見えない世界にも伝わっているんだと思います。
まあ、実際には、泣き声も響いたりしてるんですが。。。
それもいいんです。
異界のお付き合いの心得は、むずかしいお作法ではなくて、
「ごあいさつ」と「境界線」。
それだけあれば、十分なんです。
それが、家族を守り、
暮らしを健やかに保つための心得なのだと思います。
次回は、「異界との共生」 として、
体験を超えた先に見えてきた、
“共にある”という感覚についてお話します。
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