夫が、ある日の夜、会社から帰ってきた。
玄関に入った瞬間、いつもと違うドヨンとした空気が漂う。
「あれ?」と思ったら、案の定。
普段はそういうことあまり言わない夫が、急にこう言った。
「あまちゃん、きて〜(汗)……ここ、なんかいない?」
夫は自分の足元を指差している。
言われなくても、わかる。
入ってきたときから、妙な影がついているのを感じてたから。
その辺りだけ、暗ーい。
私は苦笑いして、「うーん、連れて帰ってきちゃった?」と声をかけた。
いつものことだし、子どもか何かがついてきただけかも、と軽く思いながら、
いつも通りスープを出して座卓に案内した。
(我が家では、通りかかった気配には、お菓子やお茶、食べ物をあげることが多い。)
その影のようなものに「どうぞ〜」と声をかけた。
そう言った瞬間──
部屋の一角が、パキンッ、バキンッと家鳴りを始めた。
座卓のスープをおいた場所のちょうど上のところが集中的に鳴る。
げっ……これは。
どうも“合わないモノ”を招き入れてしまったらしい。
「もしかして、、熱いスープは嫌だった??」
でもそういう感じじゃない。
家なりは、30分ほど続いて、程なく消えた。
夫と、顔を見合わせる。
「なんかあった?」
「いや、特に何もなかったんだけど、足に何かがくっついてる感触があってさ。。。」
にしても、こんなに家が鳴ることは我が家ではほとんどない。
何かしら、いつもとは違う。そんな感じがする。
その直感は的中した。
翌日から私は重い風邪のような体調不良になり、
なんと半年も続いたのだ。
原因不明の高熱、体の痛み。起き上がれないほどの倦怠感。
あ〜。。。これは。。。もらっちゃったな(泣)
築80年の古民家が、めったに鳴らないのに、
その夜だけ強烈に響いた家なり。
あれは、見えない世界からの警告のようだった。
「これは遊び半分で関わってはいけない」
そう心に刻んだ私は、
あの日をきっかけに見えない世界をもっと学ぶようになった。
今回、私の体調不良で済んだけれど、
そうでは済まないこともあるかもしれない。
だからこそ──家族を守るために、
身を守る術を身につける。
これが、あまねく杜が伝えていきたい
“異界とのお付き合いの作法” である。
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