「白ちゃん、龍って……複数つくこともあるの?」
ある日の朝、ふと気になって聞いてみた。
以前、複数の龍がついてる人から、龍の色を見てってお願いされたこともあるから余計に気になった。
それにわたしは白龍ちゃんと日常的に会話しているけれど、 時々、“別の気配”を感じることがある。
背後に別の龍が立っていたり、 誰かと話している最中に、空気の“色”が変わったり。
白龍ちゃんは、いつものように空のほうから、 すーっと流れる風と一緒に降りてきて、ふわっと言った。
「あるある〜。 龍ってね、“複数”つくこと、全然あるよ」
「基本は、一人に一柱とかじゃないの?」
「ううん、それは“そう決まってる”っていうより、 “そのとき、その人に必要なエネルギー”が来てるだけなんだよ」
「たとえば、白龍のぼくが“守る”視点でついてても、 行動のタイミングでは“火の龍”がサポートしに来ることもあるし、 深い癒しが必要なときには、“水の龍”がすっと寄り添ってくれることもあるの」
「じゃあ……龍って入れ替わったりもするの?」
「入れ替わるというより、 “重なったり離れたり”する感じかな〜。 音の重なりみたいなものだよ。 メインでよくそばにいる龍がいるとしても、 他の龍がふわっと寄ってきて、少し一緒にいるってこともある」
「それに、“目的”があって来る龍もいるし、 “その土地に縁があるから”って来る龍もいる。 だから、“たくさんの龍が同時にいる”ことも、わりとあるよ」
たしかに、わたしも感じたことがある。 白龍ちゃんがそばにいても、 まるで“別の風”が背中を押してくれるようなときが。
そういうとき、ひとつの龍だけじゃなくて、 複数の龍が“チーム”のように関わっているのかもしれない。
「じゃあ、複数ついてることに意味はあるの?」
「うん、もちろん。 でもね、それは“えらい”とか“特別”って意味じゃないよ〜。 ただ、“やること”が多い人とか、 “重なってる役割”がある人にとって、 龍がひとりじゃ足りないから、ってこともある」
「それに、ひとつの視点だけじゃ動けないとき、 龍たちは協力して、その人を包むことがあるんだ」
白龍ちゃんの言葉を聞きながら、 わたしは“音の層”やハーモニーみたいなものを想像していた。
重なって、ほどけて、また重なって──
思えば、私たち人間も、動物も植物も関係なく、
ひとつの命に対して、いろんな存在が関わって “そのときそのとき”を支えてくれてるのかもしれない。
「たとえば・・・あまちゃんには、ぼくがメインだけど、 たまに、他の龍たちも来てるでしょ? それもね、“必要なとき”に、ちゃんと来てるんだよ」
白龍ちゃんはそう言って、ふふっと笑った。
その笑顔に、なんだかとても安心した。
次は、「龍の気配を感じなくなるときって、どんなとき?」 を白龍ちゃんに聞いてみたいと思う。
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